AI経理 良い合理化 最悪の自動化

AI経理 良い合理化 最悪の自動化

著者:前田 康二郎 … 

経理目線からのAIに対しての見解であり、特に中小企業的な発想での指摘は勉強になりました。(Inobe.Shion)

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内容紹介

◆成長が止まっている会社ほど、経理の人員が減っていく!
AIに代替される可能性が高い業務のひとつと言われる経理。しかし、それは経理という機能を数字処理の部門としかとらえていないからです。そもそもすべての業務にその場その場での判断を要求される「例外的な処理」が必須で、しかもそれが経営に及ぼす影響も大きい。「AIでなくなる仕事」を予測する研究機関や学者たちは、実際の企業で働く経験に乏しく、ステレオタイプな経営しか見ていないのです。
実は「成長が止まっている会社ほど、経理の人員が減っていく」という法則があるのをご存じでしょうか。これは、フリーの(流しの)経理マンとして、複数の企業の経理部長やアドバイザーを務める筆者が、経験から割り出したもの。成長している会社ほど、経理に求められる資料や判断が増え、また、経理による不正監視機能も働いているのです。

◆AIは「方法」でなく「手段」である
現状で開発・導入が進められているAIを活用した会計ソフトの目的は「事務員を減らす」=「売上を持たない部署のコストを減らす」の1点に尽きます。しかし、それは遠からず限界が来るでしょう。本来は、売上・利益も伸ばしていくようなAIの使い方も同時にしていかないと、やがて企業は弱体化することになるからです。
本書は、AIの技術をコスト削減のような「ネガティブ要素」だけに使うのではなく、売上・利益の伸長といった「ポジティブ要素」にも使うという発想で、この問題をとらえ、そこで活躍する経理のあり方を再評価するもの。これまでの著書で多くの共感を呼んできた筆者が、その哲学をベースに、AIという新しいツールに経営者や経理社員はどのように向き合い、使いこなし、自身や会社をスキルアップさせていくべきか、様々な経験を織り交ぜ詳述します。

内容(「BOOK」データベースより)

成長が止まる会社ほど、経理の人員は減っていく!売上・利益が伸びるポジティブな循環をつくるのは、数字処理人ではなくプロの経理人です。

「AIに蹴散らされる経理」ではなく、「AIを駆使する経理」として、経理部が組織の中で存在できるか否かが、企業経営そのもの、そして実際の会社の「数字」にも影響を与え、差が出てくる時代に、これからはなるでしょう。(p.4)

本書で述べる「AI」は、いわゆる人工知能(AI)のほかに、クラウド、フィンテック、IoT、RPA(Robotic Process Automation)などを総称した意味合いとして使わせていただくと注釈があります。ここ最近、新聞紙上を賑わせているテクノロジー全般です。これらを使いこなすということで、その象徴としてAIという名称を掲げたと察しました。

取り扱うテーマが最新のものが多いはずの職種に限って組織構造が最新ではない、というのは興味深い現象だとは思いますが、逆に、そういう組織では最新のことを扱っているから職場環境自体も最新である、という思い込みもあるのかもしれません。(p.20)

この指摘は私も見逃しておりました。よくありがちなのが、主たる業務名に応じて組織名として名付けられているのですが、組織名のイメージですべきことに対して固定枠をはめてしまっていないか?ということです。この指摘の通り、世の中が変わってきているのに対応しきれない原因は、この組織名が一つのネックになっているのかもしれません。

 

近年は、違う職種同士がお互い敬意を払って、それぞれが得意なことを協力し合い高みを目指していくという組織に、優秀な人が集まり、その業界が賑わっていく、というトレンドが見られます。(p.22)
AIを使いこなすには、人間である「私達」が、理屈やインターネット上などの情報だけで世の中を知った気になるのではなく、現実の経験や体験としてもあらゆることを知っていなければなりません。なぜなら、実体験がなければ、ネット上にあふれる情報の真偽を確認できませんし、その結果、AIそのものの可能性も人間が潰してしまうのではないかと感じるからです。これまでも様々なイノベーションや発明はありましたが、AIほど、人間のアプローチの仕方によって、その価値や評価が変わってしまうものはないと思うのです。(p.23)
経理で生き残る人と生き残れない人の差をAIとの関係で考えると、「AIを使いこなす人」の立場になれば生き残り、反対に「AIに使いこなされてしまう人」になると立場は弱くなり、仕事の内容も経理知識は必要ない整理作業、入力作業の担当などになっていくと思います。この「格差」は、これから大きくなっていく可能性があります。(p.35)

この考えはまさにおっしゃる通りだと思います。結局、非定型業務は絶対に残るわけで、この非定型への臨機応変な対応力であったり、その業務の仕分けや棲み分けを定義できるような人のニーズはどんどん高くなっていくでしょうし、仕事の質の差もそうですし、求められる差も大きくなっていくことでしょう。

 

経理というのは、経理そのものが、主体的に規模が大きくなり人員が増えるのではなく、会社の状況に合わせて大きくなっていく職種なのです。逆に言えば、経理社員が会社において人員過多の状態になるということは、その会社自体の成長が「止まった」ということを意味しているのです。そのことと、最新の技術によって自動化、効率化できる部分で人員が削減できるということを混同しないようにしなければなりません。(pp.66-67)

これはさすが、経理のフリーランサーです。経験者だからこその見解だと思います。

 

自分ごとのように会社の成長を喜んでくれる社員や取引先がどれだけいるかというのは、その会社の成長に密接に関わっていると思います。経理社員に「また面倒な仕事が舞い込んできた・・でも会社の成長のためだから仕方ないか」と思ってくれる人をどれだけ確保できるか、ということは組織にとっては重要で、成長する企業には必ずそうした社員が複数人います。こうした成長マインドを持った社員が、AIを会社の成長のためにこのように使えばよいのではないかと考えを提案することができれば、これまでよりもさらにビジネスサイクルが早く回転し、会社も成長することができるでしょう。経理社員自身のマインドセット(思考様式)は、AIによって単純作業が減っていくのに反比例して、組織におけるウェイト付けは非常に大きくなってくることでしょう。経理社員も、スキルの整理だけでなく、これからどう働いていきたいのか、何が目標なのか、ということを会社や自分のステージが変わるたびに、定期的に整理する時間を持ちたいものです。そうすることで、周囲に求められる人材、AIでは代替できない人材となっていくことでしょう。(pp.245-246)

中小企業においては、経理しか経営企画的な役割はができない、というようなことを指摘しているように思います。特に零細企業においては、経営企画や社長室といった部署がないところが多いと思います。しかしはどの部署でも経理は間違いなくあることでしょう。そう言った場合は、財務数値を把握している経理しか経営企画的な役割ができないということを提案されていると理解しました。

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