100年後の世界

100年後の世界―SF映画から考えるテクノロジーと社会の未来 (DOJIN選書)

著者:鈴木 貴之 … 

サブタイトルは、「SF映画から考えるテクノロジーと社会の未来」・・・昔、確か電通の未来洞察関連のセミナーで未来を知るには、ハリウッド映画を見るといいということを聞きましたが、そんな感じの著作。テクノロジーを4つの領域に分けて、倫理的観点など様々な切り口で是非を問っていきます。(Inobe.Shion)

Future

 

内容紹介

哲学者、テクノロジーの未来を考える。

テクノロジーの進歩は、社会に大きな変化をもたらす。
私たちは、現在のテクノロジー、そしてまだ見ぬテクノロジーとどう付き合っていけばよいのだろうか。
本書では、生殖医療、遺伝子操作、サイボーグ、不老長寿、人工知能、仮想現実などを取り上げ、
それぞれのテクノロジーの現状を整理し、『ガタカ』『ロボコップ』『マトリックス』といったSF映画も参照しながら、
まだ見ぬテクノロジーと社会の関係を予測する。
気鋭の哲学者による刺激的論考!

◆生命
『ジュニア』で生殖医療技術/『ガタカ』で遺伝子操作/『ジュラシック・パーク』で絶滅動物の復活
◆能力増強
『アルジャーノンに花束を』でスマート・ドラッグ/『ロボコップ』で身体改造/『永遠に美しく…』で不良長寿
◆情報
『2001年宇宙の旅』で人工知能/『ターミネーター』で働く機械/『マイノリティ・リポート』でデータ分析
◆人間の心
『ブレインストーム』でマインド・リーディング/『時計じかけのオレンジ』で心の操作/『マトリックス』で仮想現実

内容(「BOOK」データベースより)

テクノロジーの進歩は、社会に大きな変化をもたらす。私たちは、現在のテクノロジー、そしてまだ見ぬテクノロジーとどう付き合っていけばよいのだろうか。本書では、生殖医療、遺伝子操作、サイボーグ、不老長寿、人工知能、仮想現実などを取り上げ、それぞれのテクノロジーの現状を整理し、『ガタカ』『ロボコップ』『マトリックス』といったSF映画も参照しながら、テクノロジーと社会の関係を予測する。気鋭の哲学者による刺激的論考!

この本では4つの領域を取り挙げる。
第1の領域:生命に関するテクノロジー
第2の領域:人間の能力を高めるテクノロジー
第3の領域:情報テクノロジー
第4の領域:人間の心に関係するテクノロジー
テクノロジーの未来について考えることにはどのような意義があるのだろうか。
第一に、新しいテクノロジーは、我々の社会にこれまでにない大きな変化をもたらすかもしれない。たとえば、インターネットは、コミュニケーションの在り方を質的に変える技術であった。このような特徴を持つものが数多くある。これが、未来のテクノロジーについて考えることが重要な第一の理由だ。
第二に、社会に生じる変化の中には、実際に変化が生じてから田泓するのでは手遅れなものもある。たとえば地球温暖化には、そのような側面があるかもしれない。
第三の理由は、人工知能やロボットに頼ることは人間の知能能力を低下させることがある。このように、未来のテクノロジーについて考えてみることで現在われわれの身の回りにあるさまざまなテクノロジーや現在の社会制度を、新たな目で見ることができるようになる。
これらの理由から、未来のテクノロジーについて考えることには、たんんに興味深いというだけにとどまらない意義があるのだ。(p.14)

下記の2つの対立構造は面白いです。私個人的には後者を推しますが、皆さんはいかがでしょうか?

情報テクノロジーには、より根本的な問題があると主張する人もいる。情報テクノロジーは、知性の劣化をもたらすというのだ。たとえば、ニコラス・カーは、著書『ネット・バカ』で、インターネットを利用する際、われわれは多様な情報の断片につぎつぎと接するため、集中力や思考力が損なわれる。コンピュータを利用するとき様々な作業を同時並行的に進めることが一般的だ。カーはこのような作業形態に慣れることで、マルチタスク能力が高まることと引き換えに、一つのことについて深く思考する能力が損なわれると主張する。(pp.161-162)
これとは対照的な見方をとる人もいる。スティーブン・ジョンソンは、著書『ダメなものは、タメになる』で、今日のデジタルメディアは、過去の様々なメディアと比べて、複雑な情報処理を必要とするものとなっていると指摘する。その具体例として彼が挙げるのは、刑事ドラマだ。1980年代ごろからテレビドラマの内容は複雑化した。一回に複数の事件の捜査が並行して進み、登場人物のプライベートの問題が取り上げられることも珍しくない。このような複雑な構造のドラマを楽しむには、より高度な知性が必要だ。(p.162)

そして、次のような新たな問題提起です。

情報テクノロジーによって、我々の繋がり方は過去数十年の間に大きく変化した。この変化は、よいものだったのだろうか。今後、我々の繋がり方がさらに変化するとしたら、それは歓迎すべきことなのだろうか。これもまた、答えを出すのが難しい問題だ。(p.163)

また別の切り口で、肯定派と否定派について述べています。

テクノロジー肯定派はいくつかの基本的な主張を共有している。第一に、テクノロジーを用いた能力増強は、自らの能力を高めるためのその他の方法と、本質的には違いがない。第二に、テクノロジーを用いた能力増強によって、人間はこれまでとは大きく異なる存在になる。第三に、それによって、我々の生はより良いものとなる。これが宅のロジー肯定派の描く未来像だ。(p.215)
テクノロジー否定派は、このような楽観的な見方を否定する。ビル・マッキベンは、我々は科学技術のこれ以上の進歩を望むべきでないと主張する。(p.216)

新しいテクノロジーに対しての特徴とはどんなものなのでしょう。

新しいテクノロジーに固有の特徴としては、つぎのようなことを指摘できるだろう。
第一に、カーツワイルが指摘するように、新しいテクノロジーは雪だるま式に発展していく。第二に、新しいテクノロジーはわれわれの人間関係に変化をもたらす。第三に新しいテクノロジーは社会構造にも変化をもたらす。第四に、新しいテクノロジーはわれわれの人間観をも変えうる。第五に、新たなテクノロジーは、それによってどのような帰結がもたらされるかを予想することが困難だ。第六に、悲観的なシナリオが正しかった場合に取り返しのつかない問題が生じるという点も、新しいテクノロジーに特徴的だ。(pp.226-228)

あらためてテクノロジーなしに未来は語れない。そしてそのテクノロジーに関しても様々な見方がある。リベラルアーツに関しての知識を身につけて、自分なりの価値基準をもって、テクノロジーを利用していかなければならない。

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