退屈すれば脳はひらめく―7つのステップでスマホを手放す

退屈すれば脳はひらめく―7つのステップでスマホを手放す

著者:マヌーシュ・ゾモロディ … 

脳がテクノロジーに苛まれている状況を何とかして救わねばと思わせてくれる。ものすごい習慣化されてしまったスマホ。手放すことはもうできませんが、必要ないところまでスマホに頼っているのはいただけない。何とか必要最小限までスマホ時間を抑えて、もっと創造的なところに目を向けていかねばと考えさせられます。(Inobe.Shion)

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メディア掲載レビューほか

スマホに頼るとバカになる。依存から脱する方法は?

スマホに頼っていたら、どんどんバカになっているのを実感しています。あとで検索すればいいやと思うから何も覚えないし、スマホにタブレットにPCなどモニターを三つくらい交互に見ているから集中力が続かない。写真を撮るだけ撮ってすぐ忘却、etc.……。世界的にもスマホ中毒者は年々増加。誰もが危機感を抱く現代人のスマホ依存とその弊害に対し、「スマホを手放し退屈しましょう」という提案をしたのが、マヌーシュ・ゾモロディ著『退屈すれば脳はひらめく 7つのステップでスマホを手放す』です。

スマホの影響を様々な角度から検証。スタンフォード大学の研究者、パン博士はスマホによって集中力が失われ、知性がすり減り、記憶力が衰えているのを実感。こんな超インテリな人ですらスマホに弄されているのです。「スマホが時間を支配し、脳を人質にとっている」と博士は気付きます。フェアフィールド大学のヘンケル教授は「写真撮影による記憶の損傷効果」を提唱(ただ、ズーム撮影すれば記憶はそれほど損なわれないとか)。スマホのゲームやSNSは脳の報酬系を刺激し、快楽を与えます。「顧客を『ユーザー』と呼ぶのはテクノロジー企業とドラッグの売人だけ」というデジタル・デザイナーの言葉にゾッとしました。

そんなスマホと適度な距離感を保つ方法も綴られています。自分がどのくらいスマホを見ているか観察するのが第一のステップ。移動中はスマホをしまうとか、重要じゃないアプリの通知をオフにする、そして困ったときのマインドフルネス頼み、など。ラジオのプロジェクトで二万人の人にレッスンを体験してもらった結果、スマホの使用時間は平均して一日あたり六分、手に取る回数は一回減少したそうです。思いのほか微妙な減り方というか……もう現代人は完全にスマホから脱却するのはムリなのでしょうか。皆でダメになれば怖くない……と勇気が得られました。

評者:辛酸 なめ子

(週刊文春 2017年12月28日号掲載)

内容紹介

世界中から2万人が参加した、米人気ラジオ番組発
「退屈するための」実験的プロジェクト

ポイントはスマホとのつき合い方。
画面を見ているうちに、ハッと気がついたら2時間たっていたときの、あの後ろめたさ。スキマ時間を有効活用しているはずなのに、なぜか長くなっていくToDoリスト。メールの返信に追われて何もできない午前中……。
便利に使っていたはずのスマホに、いつの間にか使われていないだろうか?
本書を読んで、今日から1週間「退屈するための」プログラムに参加してみよう。
退屈な時間にこそ、アイディアがひらめくことが必ず実感できる!

Prologue〈プロローグ〉 退屈とひらめき
Warm-Up〈ウォームアップ〉 退屈することのメリットとは?
Day 1〈1日目〉 自分を観察しよう
Day 2〈2日目〉 移動中はスマホをしまおう
Day 3〈3日目〉 写真を撮らずに一日過ごそう
Day 4〈4日目〉 例のアプリを削除しよう
Day 5〈5日目〉 フェイクケイション(偽休暇)をとろう
Day 6〈6日目〉 いつもとはちがうものを観察しよう
Day 7〈7日目〉 プログラムメニューまとめ
Epilogue〈エピローグ〉 ひらめく人になろう
内容(「BOOK」データベースより)
世界中から2万人が参加した、米人気ラジオ番組発「退屈するための」実験的プロジェクト。ポイントはスマホとのつき合い方。画面を見ているうちに、ハッと気づいたら2時間たっていたときの、あの後ろめたさ。スキマ時間を有効活用してるはずなのに、なぜか長くなっていくTo Doリスト。メールの返信に追われて何もできない午前中…便利に使っていたはずのスマホに、いつの間にか使われていないだろうか?本書を読んで、今日から1週間「退屈するための」プログラムに参加してみよう。退屈な時間にこそ、アイディアがひらめくことが必ず実感できる!

著者略歴 (「BOOK著者紹介情報」より)

ゾモロディ,マヌーシュ
ジョージタウン大学卒業。BBCニュース記者/シニアプロデューサー、ロイターテレビジョン等のフリーアンカー/リポーター、メディアコンサルタント等を経て、ニューヨーク公共ラジオ局(WNYC)のテクノロジー番組『ノート・トゥ・セルフ(Note to Self)』のホストおよび編集ディレクターに就任。デジタルライフにおける諸問題について、識者およびリスナーとの対話や実験などから答えを探っている。ニューヨーク・プレス・クラブから4回も賞を受けるなど、受賞歴多数。2014年、女性メディア同盟から「優れたホスト」に選ばれる

 

人は何もしないでぼーっとしているとき、ユニークなアイディアや問題を解決する方法を思いつきます。創造性の定義にはいろいろあるけど、脳内でまったく新しい結びつきが生まれることだとすればそれには、それにはちょっとした助けが必要で、あなたが退屈することこそが絶好のきっかけになるんです。未来学者のリタ・キングはこれを「創造のための退屈」と名付けています。(p.16)
退屈を受け入れ、ぼーっとする時間を持つようにすれば、ひらめきの瞬間が訪れるはず―眠りに落ちる前や、シャワーを浴びているとき、自然の中を散歩しているときなんかに、デフォルトモードが「イマジネーション・ネットワーク」と呼ばれるのも意外じゃありません。退屈すると、「もし、こうだったとしたら?」と想像できるようになるから、これはクリエイティブな活動だけじゃなく、心の健康や人としての成長のためにも欠かせない問いかけです。(pp.16-17)
そもそも、私たちが目的を達成するためにテクノロジーを利用してるのか、それともテクノロジーの方が私たちの脳をデジタル仕様に変えつつあるのか。これについても意見が分かれるところです。また、マインドワンダリングという現象についての研究も始まったばかり。それでも今日までの研究成果からこれだけははっきり言えます―ユニークな発想をするには絶え間ない刺激に待ったをかける必要がある。(p.19)

マインドワンダリングというのは初めて聞きました。
マインドワンダリング(mind-wandering)は,現在行っている課題や外的な環境の出来事から注意が逸れて,自発的な思考を行う現象である(wanderは「さまよう」「さすらう」という意味)。いわゆる「心ここにあらず」という状態のことだ。授業中に何となく窓の外に目を向けると,雪が降り始めている。ああ,もうそんな季節か。クリスマスももうすぐだ。まだプレゼントを買えていないが,どうにかして恋人を喜ばせたい。最近何が欲しいと言ってたっけな…。こうなるともう授業どころではない。ワンダラーは授業時間の残り30分をかけて,ああでもない,こうでもないとプレゼントについて考える旅に出てしまう。(こちらから引用)

 

確かに私もネットサーフィン、SNSなどワンダラーになってしまっています。気づいたときに断ち切れるようなTIPSを持っておかないと。

さて。pp.26-27 に7つのレッスンが箇条書きされています。これについて、各章での解説がなされていきます。

”退屈すれば脳はひらめく”
プログラムメニュー 7つのレッスンレッスン1 自分を観察する
まずは自分のデジタル機器の利用状況を把握します。
結果を知ると、ほとんどの人がショックを受けるはずです。

レッスン2 移動中はスマホをしまう
移動中はスマホを見えないところにしまいましょう。
つまり、歩きながらメールを打つのは禁止!

レッスン3 まる1日写真を撮らない
料理も子猫も子どもの写真もだめ。一切禁止。

レッスン4 例のアプリを削除する
「ないと生きていけないアプリ」をひとつ捨てましょう。

レッスン5 フェイクケイション(偽休暇)をとる
オフィスにいながら外界との連絡を断ちましょう。

レッスン6 いつもとはちがうものを観察する
気づき能力を取り戻しましょう。

レッスン7 プログラムメニューまとめ
全てのレッスンの仕上げとして、退屈する力を使って
人生を理解し、目標を定めましょう。

レッスン1~6については、数字も出しながら、スマホの呪縛から逃れられるようなヒントがいろいろと提示されています。

そして、レッスン7のところから気になったところを抜粋します。

退屈すること、あるいはもっと正確に言うと、マインドワンダリングは、科学用語では「自伝的プランニング」と呼ばれる不思議な活動を促してくれます。自分が描いた目標に到達し、ある程度長い期間にわたって人生のプランを立てるためにどの道を選ぶべきか考え、計画する脳の働きです。(p.237)

元グーグルでマインドフルネスを広めたチャディー・メン・タンによる優しさ指数を引き上げる瞑想法とのこと。(p.242)

  1. ある人を思い浮かべる。できれば自分にとって大切な人。
  2. その人が幸せであるように願う。
  3. 吸って吐く呼吸を3度繰り返し、そのあいだずっとそう願い続ける。
  4. 他人の幸せを願うことが習慣になるまで、毎日これを続ける・・・するとあなた自身も幸せになれる。

参考までに、チャディー・メン・タンさんの著作はこちらです。

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さて、確かに人生の大部分をスマホをはじめとするテクノロジーに占められる時代になりました。1990年代から大学をはじめ、電車での通学・通勤をしていますが、そのころはずっと音楽を聴きながら、本を読んでましたもんね。そりゃ、活字離れにもなりますよね。とはいえ本を読んでいるときも本にタイムシェアされているのでそれほど変わらないかもしれませんが、本は見ず知らずの人とのコミュニケーションに対して、スマホのSNSなどはそうではないですし、そのあたりは大きく違うところでしょう。

いずれにしても、結局は「考える」時間・・・、「気づき」時間も減っていることで、受け身な人生になってしまう。それは避けなければならないということは改めてに気づきとなりました。

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