実践フェーズに突入 最強のAI活用術

実践フェーズに突入 最強のAI活用術

著者:野村 直之 … 

著者の前作が出たのが、ちょうど1年前くらいでかなりの内容が私にとって新鮮でたくさんチェックさせていただきましたが、今回はその時に比べると、それほどでも・・・という感じです。ですが、AI情報をアップデイトしておくにはよかったです。(Inobe.Shion)

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内容紹介
今の人工知能(AI)を正しく理解して活用し 導入効果を最大化するAIビジネス書の決定版

AIブームはとどまるところを知らず、企業や組織はAI活用の実践フェーズに突入しつつあります。
一方で、AIに関する様々な誤解がいまだに蔓延しており、深層学習(ディープラーニング)をはじめとする「今のAI」をどうすればビジネスに生かせるかの理解も進んでいません。

AIは非常に大きな可能性を秘めています。今のAIを効果的に活用すれば生産性やROI(投資対効果)の劇的な改善につながります。
一方でAIは癖のある道具であり、使いこなすには正しい理解と十分なノウハウが欠かせません。

本書は30年以上にわたりAIの開発や導入・活用を手掛けてきた筆者が、AIのビジネス活用に必要なすべてを具体的に解き明かす待望の一冊です。
今のAIで何がどこまでできるのかにはじまり、AI活用の進め方や評価方法、データを確保する手順、ハードやソフトの選び方、人材育成のやり方までを豊富な実例で具体的に説明します。

今がAI導入の絶好のチャンス。ここで決断しないと、国内外のライバルに後れを取ることになりかねません。
自社のAI活用に取り組むIT部門や経営企画部門、業務部門、顧客企業のAI活用を支援するベンダーやコンサルタントなど、AI活用に関わる人必携の一冊です。

内容(「BOOK」データベースより)
今のAI(人工知能)で何がどこまでできる?ROI(投資対効果)を高める秘訣は?どんなソフトやハードを使えばいい?学習に必要なデータをどう確保する?ベストセラー『人工知能が変える仕事の未来』筆者が著す、導入効果を最大化するAIビジネスの書。評価方法や人材育成など、知っておくべき全てを網羅!

AIの苦手なところの話がp.20に出てきますが、非常にわかりやすかったです。こんな感じです。

コンピュータが決定的に苦手だったのは、絵や文章で書かれた内容を理解し実行することです。「コップの脇に転がっている鉛筆を見て、それをコップに立てる」といった作業は、最近まで手も足も出なったわけです。このような課題を解く能力を、最近では「子供の知能」と呼びます。・・・これに対し、膨大な数値データを既存のAI手法で分析・活用する「大人のAI」で日本が並み居るグローバル企業や国々と戦うのは容易でありません。どれだけ膨大なデータや計算容量を確保できるかといった物量勝負の世界になるからです。(pp.20-21)

この例えは是非使えるようにしておきたいですね。

 

ニューラルネットの研究に長年従事し、フェイスブック人工知能研究所長に転じたヤン・ルカン博士は、深層学習の最大の特徴は「端から端までの一気通貫処理(end-to-end computing)にある」と語っています。正解データとして「入力データと出力データの組」を大量に与えることで、中身はブラックボックスのまま、非常に高い精度で対応関係を「学習」するというものです。(p.24)
ルカン氏はインタビューで次のように述べています。
・Yann LeCun氏は、Deep Learningについて「脳のように機能する」と表現することを嫌う。Deep Learnigは実際の脳の機能からは、はるかに遠い。そのように表現することは誇大広告となり危険である。
・「・・・新しいテクノロジーをビジネスに取り入れる際は、そのテクノロジーで実現できること・できないことを正しく理解する必要があります。現状のビジネス利用では『教師あり学習』が現実的です。」(pp.24-25)

未来に登場する可能性があるものを含めて、多彩なAIを3つの軸で分類してみましょう。(p.26)

第1の軸 ヒトの脳を目指す「強いAI」 ー 人を補佐し人間の能力を拡充する「弱いAI」
第2の軸 「専用」 ― 「汎用」
第三の軸 「大規模データ」に基づ気扱う ー 「小規模データ」で動作する
AI研究における「羽生」はもっと次元の違う汎用性を主に指します。ポイントの一つが、新しい知識を自ら獲得して使いこなす知識獲得・知識創造のための知識、すなわちメタ知識を持つかどうかです。このメタ知識を使って未知の事態にある程度対応できるAI、汎用の学習能力を持つAIを「汎用」とすることが多いようです。(p.27)
Google翻訳が採用した、単語の並びの前後関係や順序を把握する「RNN(Recurrent Neural Network)」や長さの違いを吸収し、フレーズの中心語を同定しやすい「LTSTM(Long/Short Term Memory)」といったタイプの深層学習は、2015年から2016年にかけて急速に応用が進みました。深層学習に基づく機械翻訳はニューラル翻訳とも呼びます。(p.33)

ここからAIの精度のお話が掲載されています。

そして、そのあと、AI活用に向けてのお話です。

AIを導入する際に業務フローのどこを改変・刷新していいのか、人間の能力を適切に活かすためにはどうしたらいいのかが分からないまま、新しい業務フローを不適切に描くことになりかねません。ただ、業務フローの一部で暗黙知を活用していたり、業務フロー自体が暗黙知になってしまっていたりするケースもあります。こうした場合、どうしたらいいでしょうか?一つの方法はITサービスマネジメントのベストプラクティス「ITIL(IT Infrastructure Library)v2」を参考にして、既存の業務フローの形式知化を進めるというものです。(p.120)
ITILのような業務管理、サービス提供のためのフレームワークを活用して、トップダウンで既存の業務フローを見直し、AIを導入した後の新しい業務フローを設計する。こうしたやり方は十分意味があると思います。(p.124)

ここでITILが出てくるとは、実におもしろいですね。やっぱりITILについては一度きちんと整理しておかないといけませんね。

マネージャは新しい業務フローの全体像を把握しつつ、適切な人員配置を検討しなければなりません。新しい業務フローでは、見て(又は聞いて)判断するだけの、ボリュームのある仕事はAIに任せることになります。人間の役割として、AIの出力誤りに関してダブルチェックしたり、AIの判定状況がいつも通り(の比率で取り違え行列が出力されている)かどうかなどを判断し、新たな例外事象について必要な対策を考えて実行したりする、といった作業が新たに発生します。これらを踏まえずに無自覚にAIを導入すると、下手をすると従来以上に多くの人手が必要になってしまいかねません。今なで「見ていなかった」判定業務について、AIが従来の何桁も多い分量をこなすために、人間がダブルチェックに追われる日々を送る羽目に陥ることさえあります。(p.190)
いま、科学・技術・工学・数学の頭文字を取った「STEM(Science, Technology, Engineering & Mathematics)の教育を重視せよ」という動きが日米ともに活発化しつつあります。(p.193)
AI導入後の業務フローを描くには、ITILが参考になります。・・・既存業務フローのどこにAIを配置し、そのAI(取り違え行列と確率値)が分類し、場合分けする新しい業務フローで、新たな視点でコストダウンできるか。そして、人間が最も効果的に働けるよう、どの部分にシフトするかについて、具体的に配置図とフロー図を描きます。ITILのサービス管理、サービス・デリバリーの概念図のアナロジーから、業務フローの再構築(リバンドル)のヒントや示唆が得られるでしょう。これにより、AIを主体的に導入し活用する情報システム部などが、AIを導入したサービス全般のモデリングに大いに貢献できるようになります。(p.218)

前作のときよりも新しい情報は少なかったように感じました。ですが、やはり「へぇ~」というのはいくつもあり、勉強になりました。

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