なぜ良い戦略が利益に結びつかないのか ― 高収益企業になるための5つの実践法

なぜ良い戦略が利益に結びつかないのか―――高収益企業になるための5つの実践法

著者:ポール・レインワンド,チェザレ・メイナルディ…

ずっと読みたかったし、ことあることにレコメンデーションされますし、読まなきゃと思っていた本です。文字通り、じゃあどんな戦略が良いの?という答え・・・あるかどうか。自分なりに導き出したいと思いながら、読み進めていきたいと思います。(Inobe,Shion)

男, 屋上からの眺め, バックからの眺め, ボロネジ, ルーフィング

 

内容紹介
「戦略を実行する組織能力が不足している」──。
今日、多くの経営者が抱えるこの難問に対し、本書では多くの具体的な成功事例を示して、5つの画期的な解決策にまとめて提示します。

イケア、スターバックス、ファイザー、アディダス、 アップル、アマゾン、インディテックス(ZARA)、アンダーアーマー、キャンベルスープ、マクドナルド、ハイアール、テスラモーターズ、セメックス……これらの企業が高収益を実現している理由は何か?「自分たちはどんな企業で、何に優れているのか」を考え抜き、その組織能力(ケイパビリティ)に基づく戦略を立て、それを確実に実行しているためという結論のもと、自社を差別化する組織能力を経営の核にすえ、自社独自の価値を顧客にもたらす商品・サービスを提供する方法を提示します。

具体的には、
1.自社の独自性を貫く
2.戦略を業務に落とし込む
3.組織文化を活用する
4.成長のためにコスト削減
5.将来像を作り出す
の5つの実践法です。

これを実践するために、読者の企業は
・何が不足しているのか
・どうすれば、それを解消できるのか
などを見出せる「ツール」を本書の中に附設し、
自社や自らのチームについて読者自身がチェックできる仕掛けがあります。

内容(「BOOK」データベースより)
自分たちはどんな企業で、何に優れているのか組織能力に基づく戦略を確実に実行して高収益企業になる!自社を差別化する組織能力を経営の核に据え、独自の価値を顧客にもたらす商品・サービスを提供するイケア、スターバックス、ファイザー、アップル、アマゾン、インディテックス(ZARA)、アディダス、ハイアール、セメックス、テスラモーターズ…高収益企業を徹底分析して判明した5つの実践法を詳述する。

冒頭から、直球です。

 

今日、ほぼすべての企業が直面する戦略上の課題がある。それは価値を生み出す道筋が見通せないということだ。・・・このようなもんだは単なる外的要因で生じるわけではなく、大半の企業の経営手法の結果として起こっている。戦略と実行の間に望ましくない大きなギャップが存在し、企業が目指すことと実際に達成できることが断絶しているのである。(p.2)
アップル、フリトレー、ハイアール、インディテックス、レゴ、クアルコム、スターバックスなども戦略と実行のギャップを乗り越えた企業であり、いずれも特異な特徴を持つ企業である。一見したところこれらの企業にはほとんど共通点がなく、並べて検討されることはあまりない。しかし、大きな戦略優位を生み出す差別化されたケイパビリティを確立済みという点は、共通である。(pp.5-6)
戦略と実行を結び付けるもの、それがケイパビリティである。企業が真に自社を差別化でき、実務が執り行われる領域にあるのがケイパビリティである。しかし優れたケイパビリティを持つだけでは不十分である。すべての企業は優れたケイパビリティを持っており、そうでなければ競争に参加できない。本当の勝ち組企業は、自社を差別化する少数のケイパビリティを経営の中心に置き、それらを巧みに融合させている。これを実現した企業のことを、我々はコヒーレンス(一貫性)を有する企業と呼ぶ。(p.6)
コヒーレンスという言葉を、我々は独自の意味で用いているが、以下の3つの戦略要素がうまく整合した状態を表すものである。

  • その企業と他社との違いを際立たせるバリュープロポジション(我々はしばしばこれを市場での「戦いのパターン」とも呼ぶが、以下、本書では「価値提供」と表記する)
  • 特徴あるケイパビリティが相互に強め合い、企業が勝ち提供を実行できるようにする体系
  • こうしたケイパビリティを活かすように選択された商品・サービスのポートフォリオ

これらの要素は企業の独自性、業務運営、組織文化、経営資源の管理手法、自社の果たす役割を規定するものであり、戦略と実行のギャップを埋める能力を形成するものだ。これらの要素のコヒーレンスが重要であり、我々は、これこそが持続可能な成功を確保するための最も重要な条件だと考えている。(pp.6-7)

コヒーレンスを有している企業であれば、戦略と実行のギャップを埋めることに苦労する必要がない。最初からギャップが存在しないからだ。自社の商品・サービスはすべて自社固有の特徴あるケイパビリティに支えられていて、同じ価値提供を実現する。つまり、もともと戦略に実行可能性が備わっているのだ。その企業の成長はすでに獲得済みのケイパビリティに支えられ、獲得方法が分かっているケイパビリティによってされあに強化される。戦略(What:どの事業を追求するか)と実行(How:どう追求し維持するか)の密接な結びつきが、社内で行われる意思決定のあらゆる部分に浸透している。もやは戦略は、単に目指す方向や成長領域を示すだけのものではない。これらの企業が今日重視するのは、自社がどのような企業で、何に優れているかという点である。これこそが、勝つための方法を規定するのである。(p.7)
一方、コヒーレンスが欠けていると、企業の成長力が奪われる。価値創出に向かう道がバラバラに存在する状態なのである。コヒーレンスがない企業では、一つ一つの商品やサービスを成功に導くために、それぞれ異なるケイパビリティが必要になる。つまり共通の強みを活かすことができない。また、コヒーレンスがない企業のオペレーションには、特徴的な独自性が欠如する傾向があり、自社を差別化することが難しい。自分の会社に戦略と実行のギャップがあると認識英知得る場合、それは大抵、コヒーレンスの欠如を示す兆候である。(pp.7-8)
コヒーレンスがない企業では、多くのリーダーが、実行面の課題と思われるものに注目して問題を解決しようと試みる。・・・しかし、個々の機能部門が原因でこのギャップが生じているわけではないため、視野の狭い対策でこのギャップを解消することは不可能だ。本当の解決策とは、自社の特徴あるケイパビリティをとして戦略策定と実行をダイナミックに結びつけることである。この点に注目することによって、一見無関係に思われる二つの活動を一つにまとめることができる。(p.8)

もうここまでですっかり概論的なところはカバーできたのではないでしょうか。的確にまとめてくれていて、分かりやすいですね。

あと、これはブランドを作る時にも同じことが言えるような気がします。(p.16,17の図表)

▼従来型の通念がいかにして戦略と実行のギャップを生み出すか

■従来型の通念 ■残念な結果
成長へのフォーカス 成長を目指すものの、空回りに陥る。勝つ権利のない複数の市場機会を追いかける。
機能面でのエクセレンスの追求 全分野で世界レベルを目指すが、何一つ極められない。外部のベンチマークに近づけば成功できると考える。
組織再編による変革の推進 組織再編を何度も繰り返す。行動を変革するには至らず、リストラだけに頼る。
リーン化 一律にコスト削減を実施する。重要なケイパビリティ向けの資金が絞られ、重要性の低い事業や機能へは必要以上に投資される。
機敏さと聞きたい能力の強化 市場の変化に受動的に対応し続ける。「よく耳を澄まして迅速に行動すれば生き残れる」という間違った方針へ転換する。

▼戦略と実行のギャップを埋める:
従来型の通念にとらわれないリーダーシップの5つの行動様式

■従来型の通念 ■5つの行動様式
成長へのフォーカス 自社の独自性を貫く。得意な分野を明確化し、差別化により成長を達成する。
機能面でのエクセレンスの追求 戦略をに日常業務に落とし込む。複数の機能にまたがってケイパビリティを連携させ、戦略的に意図を実現させる。
組織再編による変革の推進 自社の組織文化を活用する。組織文化の強みを強調し、活用する。
リーン化 成長力を捻出するためにコストを削減する。重要性の低い分野は「間引き」して、重要分野への投資資金を増やす。
機敏さと聞きたい能力の強化 将来像を自ら作り出す。自社のケイパビリティを再定義し、需要を創出し、自社に有利な形で業界構造を再編する。
我々は、五つの行動様式が成功への唯一の道だと主張しているわけではない。しかし我々が知る限り、これが戦略と実行のギャップを縮める唯一の道であり、これに匹敵するような長期的で持続可能な成功をもたらす道はほかにないと思われる。またこの5つの行動様式は、本質的な効果が期待できるという意味でも魅力的な道筋である。コヒーレンス獲得に向けていくつかのステップを実行するだけでも、企業の業績や士気を改善することが可能だ。コヒーレンスを獲得できるかどうかを決めるのは、運でも天才的な個人でもない。必要なのは、違いを見定め、決断することである。自社の戦略にフィットしない機会にノーと判断することをいとわず、組織全体がついて来られるように十分に一貫性を保たなければならない。(p.40)

この5つの行動様式のまとめ方、切れ味鋭いですね。使えます。

さて、ここまでが概論で、ここから・・・詳細に入っていきます。

非常に考察も深く、図表も価値があります。これは手元に置いておいて見返したい本ですね。

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