著者:小城 武彦…
「衰退」、それは気づかないうちにやってきて、企業を蝕んでいきます。後で考えるとなるほどというところですが、リアルタイムでは気づかない。気づいたときにはもう遅い・・・そんな厄介な現象です。 |
内容紹介 なぜ、同じような業界・経営環境でありながら、繁栄する企業と破綻する企業に分かれてしまうのか? なぜ、衰退を認識していながら、破綻に至るまでそこから脱却できなかったのか?破綻する日本企業には「衰退のメカニズム」が存在する。通常は大きな問題を引き起こすことはないし、見過ごしてしまうことが大半である。しかし、ひとたび事業環境が変化をすると、突然牙をむき始めて、ズルズルと業績を下げ、企業を破綻に追いやってしまう、いわば「サイレントキラー」である。具体的には、ミドルによる社内調整、出世条件と経営陣登用、経営陣の資質と意思決定……、といったことが、企業の業績の成否を分けている。御社にはこのサイレントキラーが眠っていないだろうか。また、サイレントキラーの駆動を避けるには、何をすべきだろうか。企業再生の最前線で活躍してきた著者が膨大な現場の生の声と、経営学・心理学の知見から紡ぎ出した経営組織論のフロンティア。内容(「BOOK」データベースより) 破綻企業と優良企業への膨大なインタビューからあぶり出される企業の実像とは?そして、崩壊を食い止めるためには何が必要なのか?ミドルによる社内調整、出世条件と経営陣登用、経営陣の資質と意思決定…あの破綻した企業たちには、共通する社内メカニズムがあった!産業再生の最前線で活躍してきた著者が現場の声と経営学・心理学の知見から紡ぎ出した経営組織論のフロンティア。 |
主だった内容については、こちらからも読み取れますので、こちらもご覧ください。
著者の略歴とそのタイミングを見て、これって筆者の「博士論文」と関連するのでは・・・と思ったら、案の定でした。
いくつか資料が引っ掛かりました。
●組織の衰退メカニズムと文化の影響
-日本の破綻企業の事例分析-
●衰退の法則
日本企業を蝕むサイレントキラーの正体
下のほうが、2017年7月に行われた企業向けのセミナー資料のようですので、こちらが一番わかりやすいかもしれません。
さて、ザーと読みながら、目に留まったところをピックアップしていきたいと思います。
客観性を担保するために、著者自身の経験は分析対象から排除するとともに、「一つの企業にしか在籍した経験のない人には、その企業の特徴を語ることができない」という経営組織論の知見を参考に・・・(p.iii) |
これはまさにそうですね。私も最近転職して、これは本当に感じています。企業企業によって文化も習慣もルールも違う。それを知らずして、理想論やあるべきを語られても重みはやっぱい薄いです。そこはそこで、実業との兼ね合いで、アカデミアのほうと実業がしっかりと寄り添って研究していかないといけないところなのでしょう。逆に1社だけの人は目線が一つになってしまうので経営組織研究という意味では中途半端な経験になってしまうのかもしれません。
三枝匡氏の『V字回復の経営』の中で、次のような症状が不振事業によくみられるとされているとあります。(pp.4-5)
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これ・・・すごく分かります。これらそれぞれについて、まだ事業がうまくいっているように見える時期、伸びなくなった時期、うまくいかなくなった時期、まったく回復が望めなくなった時期・・・それぞれの時期でそれぞれの重みは異なるとは思いますが、耳が痛いです。ちょうど私もこのあたりは目の当たりにしたことが何度もあります。
また別で、『企業再生プロフェッショナル』という本では不振企業の特徴としては、次の4つが指摘されているようです。
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本書では、次の2つの問いを設定し、解明に取り組んでいきます。(p.21)
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さて、本文では、詳細な分析がされていくわけですが、先の紹介した著者のセミナー資料が内容を詳しく説明されているのでそちらをご覧になるとよいでしょう。より詳しく知りたい方はこの著作を読まれることをお勧めします。
学術的に丁寧に調査されていて、大学院生(修士、博士)が読まれても、内容だけでなく論の進め方なども参考になるのではと思いました。
で、先の2つの問いに対する結論については、本文をお読みください。
もしいち早く知りたいという方は、下記の内容をご参考に・・・。
本書が見出した発見事実を整理してみたい。(pp.326-329)
上記2,4,5が、一つ目の問いに対する、そして3が二つ目の問いに対する答えとなる。(pp.326-328) |