ビジネスで使える 経済予測入門

ビジネスで使える 経済予測入門――小さな変化で大きな流れを見極める

ビジネスで使える 経済予測入門――小さな変化で大きな流れを見極める
著者:中原 圭介

内容紹介

■経済学者やエコノミストには教えたくない
■三歩先の世界を見る技術!
■経済予測でビジネスが変わる!

経営者やリーダーに経済の流れを見極める目が備わっていれば、
経営や投資で失敗するケースは確実に減っていきます。

たとえ当初は間違った経営や投資を始めてしまったとしても、
経済の見通しを早めに軌道修正することで、
失敗による損失を最小限に抑えることが可能になります。

その結果、経営や投資に幅が広がり、
競合企業を引き離す絶好の機会を得ることができるのです。

◎新聞や経済メディアの情報ではわからない
◎トレンドの転換点が見えてくる!

<本書の効用>
・経営や投資で誤った判断をしなくなる
・情報を先読みして投資のタイミングを逃さない
・失敗しても損失を最小限に抑えられる
・競合企業を引き離す絶好の機会が得られる

★読書前のaffirmation!
[きっかけ・経緯] 「小さな変化で大きな流れを見極める」・・・ここですね!
[目的・質問] 小さな変化で大きな流れを見極めるようになる!
[分類] 331:経済学.経済思想

リーマン・ショック後の業績悪事例のほとんどに当てはまるのは、経済全体を俯瞰せずにタイミングの悪い時期に巨額の投資をしてしまい、事業拡大を進めてしまっていたということです。つまり、これらの経営が失敗した大きな原因は、多くの企業経営者やビジネスリーダーがたちが経済の大きな流れを見極められないまま、漫然と重大な投資の決定をしていたということにあります。このような失敗を未然に防ぐことができてれば、日本企業はもっと研究開発に資金を注ぎ込むことができ、今でも世界をリードしていた可能性が高いのではないでしょうか。そのように考えると、非常に残念でなりません。(pp.15-16)

あとからだと何とでも言えるのですが、しっかりと「流れを読める力」を身につけおかなければならないということになるのでしょう。

これからも不況が訪れるたびに、何らかの需要を喚起する政策が行われるでしょうが、企業経営者はその恩恵を長く享受しようなどとは、決して考えてはいけません。これまでの特需とその反動減の歴史を学び直して、目先の需要増に慢心しないようにすることが大切なのです。されあには、需要の先食いとその反動減は、経済の大きな流れの中にある、もう1つの小さな流れとして捉える必要があるのです。(p.37)
国際機関やシンクタンクの経済予測を鵜呑みにしてしまうと、経済の流れが大きく変わる転換点を見失ってしまうということです。日本の企業経営者たちに自らの経済観・相場観を持ってほしい、私はそう考えています。それは、経営者の経済観、相場観が企業収益を大きく左右することになるからです。だからこそ、保守的で横並びになりがちな国際機関やシンクタンクの予測を、決してあてにしてはいけません。とにもかくにも、経営者はいろいろな情報を集め、広い視野を持って、自分の頭で合理的に考えなければならないのです。(pp.53-54)

はい、それは分かっているのです。その経済観・相場観を鍛える方法知りたいのです。

なぜ経済の流れを見極められないのかというと、主に次の3つの問題点があるからです。(pp.66-69)

  1. 大多数の企業も人も、現状を追認してしまう悪い癖を持っている
    →順応的態度
  2. 企業間のグローバル競争に乗り遅れてはいけないという考えを優先しすぎるあまり、経済についての冷静な分析が軽視または無視されている
  3. 経済の悪化が業績悪化の原因であれば、欧米でも日本でも経営者は責任を問われない傾向がある
<経済予測のための3つの視点>(p.73)
「物事の本質とは何か」
「歴史の教訓をどのように生かすのか」
「自然科学の発想をどのように生かすのか」

このあたりまでは、自分の眼で見極めなさいと言いつつもその方法を示してくれていませんでしたが、ここから出てきます。

「購買力平価」は、私が長期的なドル円相場のトレンドを見るうえで重視している判断基準です。ドル円相場を短期・長期的に左右するのは、日本の経常収支や金利差ですが、長期的な左右するのは、何といっても購買力平価をおいてほかにはないからです。購買力平価とは、その国の通貨でどれだけのモノを買えるかという購買力を基準にして、そのときの為替相場が高いのか安いのかを見極めるための物差しのようなものです。短気・中期の相場予測には向かないものの、長期の相場動向を予測する上では非常に有効な判断基準になり得ます。適正なドル円相場を考えるうえでは、米国と日本の2か国間の企業物価の動向を比べ、通貨の相対的な価値を測るという方法が力を発揮します。消費者物価を使わないのは、その指標そのものが対外競争力とは直接関係しない非貿易財を多く含んでいるからです。だから、貿易財を多く含む企業物価をもとに試算した購買力平価のほうが指標としては優れているというわけです。(p.100)

購買力平価関連資料
(ドル円購買力平価と実勢相場 )、 (Wikipedia)

購買力平価が長期的にドル安・円高の方向に動いているのは、米国の物価上昇率が日本の物価上昇率より高い状態がずっと継続し、ドルの円に対する価値が落ち続けたことを示しています。実際のドル円相場も、数年単位で激しい動きをしながらも、結局のところ、長期的には購買力平価のトレンドに回帰することを繰り返してきました。その意味では、インフレが進む国の通貨価値は下がり、逆にデフレが進む国の通貨価値は上がるという購買力平価の考え方は、とても説得力があるといえるでしょう。(p.101)

なるほど、企業での投資という意味ではこのトレンドを見ながら、これくらいの見通しがしっかりとできれば、巨額の投資について思い留まることができるでしょう。

今の経営者にとって、どのような経済予測が求められているのでしょうか。私は何よりも、経済のトレンドの継続性を予測および検証していくと同時に、経済のトレンドの継続性を予測および検証していくと同時に、経済のトレンドの転換点をしっかりと見極めることが、一番求められているように思います。なぜならば、現状の経済トレンドがいつまで続くのか、経済トレンドの転換点がいつになるのか、この2つが予測できるだけでも、企業は経営や投資をより効率化させることができるからです。・・・グローバル経済下ではかつてより経済のサイクルが短くなっているので、経済トレンドの転換点を見極める方が、経済トレンドの継続性を確認するよりも重要性が高まっていると言えます。何の備えもないなかで経済トレンドが転換した後に、企業が大きな失敗に直面するケースが非常に多いからです。(pp.120-122)

そして、既存の経済学の問題点、当たり前の話ですが改めての指摘です。

経済学では「人は合理的な選択ができる」ということを大前提にしています。ところが、この大前提を証明できた人は、これまで誰一人としていません。「本当にそうなのかは証明できないが、とにかくそうなのだ」という非常に曖昧な前提からスタートし、そこから長い年月をかけてさまざまな理論が構築されてきたのが経済学なのです。・・・それでも経済学では、人は自分にとって最適なものを瞬間的に選べるという大前提を依然として掲げています。「時間の概念」をまったく無視しているという最大の欠陥は、もはや修正のしようがないようです。数百年かけて経済の規模が拡大の一途を辿り、経済構造自体も極めて複雑になってきているというのに、経済学は時代に取り残されたまま、未だに「数百年の物差し」で経済の現場を見ているのです。(pp.124-126)
経済予測の基本は、次の6つの景気判断を意識して考えることです。これらの景気判断をひとつひとつ意識することができれば、経営者は経営と経済を一体にした効率的な戦略を立てることができるようになります。

①景気拡大が始まるという判断
②景気拡大が続いているという判断
③景気拡大が終わるという判断
④景気後退が始まるという判断
⑤景気後退が続いているという判断
⑥景気後退が終わるという判断

決して誤解してはいけないのは、③「景気拡大が終わるという判断」と④「景気後退が始まるという判断」はイコールではないし、⑥「景気後退が終わるという判断」と①「景気拡大が始まるという判断」もイコールではないということです。当然ながら、双方には重複する期間もあるでしょうが、たとえ景気拡大が終わったとしても、そのまま景気が横ばいを保っている場合もありますし、たとえ景気後退が終わったとしても、その後も景気の停滞が続くことがあるからです。(pp.163-165)

そして、最後に経済の流れを見極める3つの視点として再度こちらが登場し、詳しく説明されています。

<経済予測のための3つの視点>(p.186)
「物事の本質とは何か」
「歴史の教訓をどのように生かすのか」
「自然科学の発想をどのように生かすのか」

物事の本質として、「哲学を学ぶ」ことと「古典を読む」ことを推奨しています。また、歴史、自然科学と幅広く学びそれらを融合していかなければならないと述べています。

さすがに1500円のモノということもあって、最後のこの3つの融合のさせ方こそが肝だと思うのですが、そこは自分自身でしっかりと時間をかけて学んで行かないといけませんというオチでした。

そんななかで以前から私のほうでもこだわっているリベラルアーツというものを自分の中で消化していかないといけないということになってくるのでしょう。

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