JOBSメソッド

先日、“破壊的イノベーションが「起きない理由」”をご紹介しましたが、そのなかで語られていた「JOBSメソッド」、この言葉は今年から来年にかけて出てくる言葉かと思います。洋書のほうもクリステンセン教授の弟子の方だと思いますが、発刊されます。日本語訳もきっとすぐに出るでしょう。その前に読んでみて、ここで紹介できるといいのですが・・・・。

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さて、このJOBSメソッドですが、体系的に日本語でとなりますと、こちらにまとめられていますので、私のコメントも挟みながら、一緒に理解していきましょう。

まず、「顧客ニーズ発見」を目的とした調査偏重の商品開発に対して、大きな3つの問題点が指摘されます。

  • 市場データが同じであれば、結論は同じものになってしまいます。市場データの元ソースは一つの調査会社だったりするので、あまり特徴のない商品が横並びで各社から発売されるのも理解できます。
  • 製品の売れ行きなどの市場データは、既に製品を買っている既存ユーザーの情報です。まだ満たされていない顧客ニーズについては何も教えてくれません。
  • 市場データは過去の情報です。今の顧客が取っている行動を表しているに過ぎません。商品開発には時間もかかるし、顧客も移り気です。売れた商品の後追いではコスト競争も激しくなりがちです。

つまり、「顧客のニーズと言うのは主観的なものです。客観的なデータだからと言って、売れた商品やサービスばかりを分析するのはナンセンスです」と筆者は言っています。特に多種多様な消費者ニーズ、一人のお客さまであっても刻々と変わるニーズを過去のデータ語ることはミスジャッジを誘引しかねません。

それに対して、対極の方法を紹介してくれています。

もう一つの方法、そして調査偏重の対極にあるのが、現場からユーザーの気持ちを“勘とセンス”で感じる方法です。直感を働かせて、ウケそうな商品を企画提案する。ユーザー起点という意味では良いですが、直感に頼っている以上、本当に正しいのかどうか怪しいものです。成功したとしても、運と思われても仕方ありません。

これは言わずもがなですね。そうそうヒットを打てるものではありませんからね。そこで登場するのが、「JOBSメソッド」というわけです。

JOBSメソッドとは、顧客の主観的なニーズを発見し、説明可能にする一連のプロセスです。クリステンセンは、まず一歩目として、「片付けたい用事 (Jobs to be done)」に着目することで本当のニーズは見えてくると言います。「顧客はドリルではなく、穴を探している」という言葉は端的にこれを示しています。つまり、顧客が製品を買う背景には本来やりたいことがあるはずだということです。「壁に穴を開ける」というやるべきことや、やりたいこと、すなわちジョブを見つけることがニーズを捉えるための入り口になります。ジョブには3つの種類があります。

その3つとは・・・・

  • 機能的ジョブ
    文字通りユーザーがやりたいこと、したいこと。クルマを移動に使うのは機能的なジョブと言えます。
  • 感情的ジョブ
    ユーザーが特別な感情を持ちたいこと。クルマを飛ばしてストレス解消するのは感情的ジョブと言えます。
  • 社会的ジョブ
    ユーザーが周りからどう思われたいか。クルマをステータスシンボルとして、地位やイメージを中心に選ぶのは社会的ジョブを満足させるためです。

分かりやすいですね。具体的に、次の例が挙げられています。

JOBSメソッドでは、洗濯機という製品を分析する際に、「衣類の汚れを取る」「衣類を良い香りにする」といった機能的ジョブだけでなく、「衣類の清潔感を高める」「気持ちよく洋服が着られるようにする」というような感情的ジョブ、「清潔感のある人に見られたい」という社会的ジョブからスタートします。

ここからは、私が注釈を入れるよりも本文に頼ったほうがよさそうです。
図解もありますので、上手にまとめられています。

●第三者の違和感から「障害・代替解決」をはかる → こちら

そして、最後に、この「JOBSメソッド」を身につけるには、どうすればいいか。

JOBSメソッドとは、顧客の主観的なニーズを発見し、説明可能にする一連のプロセスですが、「やり易く」「説明しやすく」なったからと言って、誰にでも簡単になったという訳ではありません。たとえば、「違和感」は漫然とユーザーを見ていては見つかりにくいものです。確かに、「障害」を見つける、「代替解決法」を見つけるといったフレームワークはあります。しかし、そのフレームの内側にあるリアルなニーズを見つけるには、ユーザーを見つめる眼力と、ユーザー目線になりきる覚悟が求められます。

最終的には、自分自身もユーザーであり、自分の感覚をどのように製品として形にするか、ということなのでしょう。難しいことはなく、ユーザーの「まなざし」を持てるか、主客分離で、「作り手」「売り手」でなく、消費者と同一化した中で商品の必然性を追求するという姿勢が必要なのでしょう。

となると、作り手をサポートする、スタッフとしてはどういったものを提供すればよいのでしょうか・・・。ヒット商品の方程式なんてものは、難しそうです。いろいろと考えさせられました。

とはいえ、このメソッド、是非マスターしたいものです。

なんと・・・クリステンセン教授の新刊も出るみたいです!
こちらはすぐにでも翻訳本が出ることでしょう!

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↓ 追記 ↓ やっと読みましたので追記しました。

ジョブ理論

 

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