続々・失敗百選

続々・失敗百選 「違和感」を拾えば重大事故は防げる-原発事故と“まさか"の失敗学

続々・失敗百選 「違和感」を拾えば重大事故は防げる-原発事故と“まさか”の失敗学
著者:中尾 政之

★読書前のaffirmation!
[きっかけ・経緯] 以前、「失敗百選」を読んだので、続編ということで。
[目的・質問] 失敗から学ぶことは多いです。失敗後でなら分かることが多いのですが・・・。

“まさか”の大事故には、必ずその前兆があった!隠された聴講を感じ取ることができれば、想定外の災害も防げます。(帯)

まさにこれですね。失敗に対する引き出しを多く持っておくことで、その前兆を感じ取る勘所を学びたいと思います。

“まさか”の失敗で必要な「違和感を拾って、設計を展開する」という脳の働きは、新商品や新工程を開発するときのも役立つ。失敗学と成功学はよく似ている。(P.iV)
人間は、自分の失敗ならば確実に知識を再利用できる。なぜならば、痛みと共に一連の失敗知識を強く記憶するからである。その結果、同じ過ちを犯しそうになると、失敗の記憶が自動的に喚起され、未然に防止できる。しかし、「人間の人生が無限に長くはない」のがネックである。一人の人間があらゆる種類の失敗に遭遇するほど人生は長くない。そこで賢い人は、自分が受けた失敗だけでなく、他人が受けた失敗を再利用するようになる。すなわち、世間の失敗に注目して、そこから本質的な原因を抽出し、さらに事故現場を尋ねて状況を仮想体験する。失敗学の奥義は「人に振り見て我が振り直せ」である。この“人の振り”、つまり他人の失敗こそ有用なナレッジである。(P.6)

そして、今回の提案は、「失敗のナレッジ」を越えたもので、次に引用するように、「失敗学の“守破離”」というの形で説明しています。非常にユニークで分かりやすいです。

失敗学にも守破離がある。「守」の段階における失敗学の「型」は、「失敗のナレッジマネジメント」である。修行中は、ひたすら自分の失敗を分析して設計方法を改善して知識を蓄積し、自分が起こした事故の応急対策も逃げずに実施する。また、他人の失敗の情報を収集し、その中から失敗シナリオを抽出して、同様に知識を蓄積する。最後に、これらの知識を再利用する。つまり、自他の将来の失敗に対して「過去のあn失敗が起きる前と状況が似ているな」と予知したら、蓄積した失敗シナリオの中から類似的なものを検索して事故が起きる前に予防対策を実施する。・・・ところが、この「型」は、発生確率は低いが損失の大きい“まさか”の失敗には通用しない。なぜならば、東日本大震災の大津波のように100年に1回程度しか起きない稀少な失敗であると、そもそも過去の知識が古すぎて収集できず、または存在しないからである。そこで、「破」の段階の型破りの新しい技として、「違和感のインスピレーション」を用いる。「何か変だなぁ」、「これは怪しい」、「使いにくいわ」と非論理的にピンときたら、「そこを起点にして失敗が始まった場合、どのように損害を拡大していくか」という空想的なシナリオを論理的に創出すればよい。その起点は、違和感・危惧感・直観・杞憂・閃き・インスプレーション程度の微弱信号で良い。・・・そのうち、「失敗のナレッジマネジメント」の「型」に裏打ちされ、かつ「違和感というインスプレーション」の「破」が冴えてくると一人前である。最後は、失敗学の名人領域の「離」に達して、次々にリスクを神のお告げのごとく指摘できる。(P.29-30)
失敗学の守破離(P.29)


・「型」=失敗のナレッジマネジメント
・失敗データの収集・分析
・失敗シナリオの抽出・検索
・事後の応急対策の実行
・事前の予防対策の実行


・「型破り」=違和感のインスピレーション
・違和感・危惧感・直観・杞憂・霊感という脳の微弱信号の検出
・失敗シナリオを空想的に設定
・事前の要望対s買うの実行


・「型」の失敗のナレッジマネジメントの体験に裏打ちされた違和感の提示
・神懸かったような霊感・啓示的予見
・事前の本質的対策

分かりやすい例えです。「離」までくれば、たいがいのこと・・・天変地異の自然現象を除いては、対応できるのでしょう。しかし、ブラックスワン的事象、さすがにこれだけは無理でしょうね。これも違和感を感じることはできないものでしょうか。

ちなみに「ブラックスワン」といえば、このタレブさんが言いはじめた現象です。

ブラック・スワン[上]―不確実性とリスクの本質 ブラック・スワン[下]―不確実性とリスクの本質 ブラックスワンの経営学 通説をくつがえした世界最優秀ケーススタディ

以後、様々な失敗が掲載されています。それぞれ失敗のデータベースにインプットして、すぐに取り出せるようにしておきたいですね。

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