戦略読書日記 〈本質を抉りだす思考のセンス〉


戦略読書日記 〈本質を抉りだす思考のセンス〉

戦略読書日記 〈本質を抉りだす思考のセンス〉
著者:楠木 建

★読書前のaffirmation!
[目的] 年間300冊以上読むという楠木先生の読み方を学ぶ。
[質問] 戦略的な読書とは?そこが知りたいです。

先日、楠木先生のセミナーを拝聴しましたが、非常に面白く興味深かったので、先生の著作物を読んでいこうと思いまして、たくさん図書館で借りました。例の「ストーリーとしての競争戦略 ―優れた戦略の条件 」が2010年。もうそんなになるんですねぇ。それ以後、2013年以降、半年に1冊ペースで書かれている感じです。

さて、こちらの本は、戦略や経営の本質を抉り出すような本を厳選とのこと。さぁ、読み進めていきましょう。

日本電産社長の永守重信さんがとあるインタビューで答えていた。リーマンショックの時に、積み上げた経営ノウハウでは乗り切れないと感じた。本当に会社がつぶれるかもしれない。そう思った永守さんは、行き先を言わず、一か月間図書館に通い続けた。そして1930年代の世界恐慌で多くの会社がつぶれるなか、業績を急回復させた企業についての本を探して片っ端から読み、ひたすら考えたという。経営者としての実体験の深さや豊かさが超一流である永守さんでさえも、リーマンショックという非連続な事態に遭遇したときには、読書をすることによって、拡張された時間軸と空間軸の中に自己を位置づけ、そこから有用な因果論理をつかみだそうとする。(P.18)

永守さんほどの方だからこそかもしれません。尋常でない状況でこの危機に対してのヒントを「学び」に求められたのでしょうか。なんたるやトップとしての使命感と謙虚な姿勢。

戦略全体の合理性は、部分の合理性の単純合計ではない。部分は全体の文脈の中に置いて初めて意味を持つ。これが戦略ストーリーとして考えるということ。(P.28)

戦略担当者は、戦術担当者の部分最適を喝破していかなければならない・・・、深いです。それだけ戦略担当者は考えに考えて、文句を言わせないまでに考える。そこまで仕上げないといけないということですね。

 

戦略ストーリーの要となるコンセプトは、喜ぶ顧客の姿が目の前に立ち現れてくるような言葉でなくてはならない。そのためには八方美人は禁物である。「誰を喜ばせるか」以上に「誰に嫌われるか」を明確にしなくてはならない。誰もが喜ぶということは、本当に喜ぶ人は誰もいないのと同じである。(P.29)

誰もが喜ぶ=本当に喜ぶ人は誰もいない・・・というのは衝撃です。でもそうかもしれません。いまはエッジを立てて、毅然とした態度で適切にターゲットとした顧客に刺さるものを創っていくということですね。

柳井さんの思考は目の前で起こっている具体的な物事と抽象的な原理原則の体系を常時行ったり来たりしている。この具体と抽象の振幅の幅がとんでもなく大きい。振幅の頻度が高く、脳内往復運動のスピードがきわめて速い。戦略ストーリーを構築する経営者の能力は、どれだけ大きな幅で、どれだけ高頻度で、どれだけ速いスピードで具体と抽象を行き来できるかで決まる。具体的な問題や案件の表面を撫でているだけでは、優れた戦略ストーリーは生まれない。最終的な意思決定は常に具体的でなければならない。しかし、その一方で抽象度の高い原理原則がなければ、しかもそうした原理原則がきちんと言語化され、言葉で意識的に考え、伝えられるようになっていなければ、筋の良い戦略ストーリーはできない。(P.38)

先ほど読み終えた『経営者が絶対に「するべきこと」・・・』でも言ってましたが、守るべき原理原則については外さないということですね。

 

その原理原則が23か条にまとめられていて、下記がそれです。

「 ユニクロの経営理念 」

1 顧客の要望に応え、顧客を創造する経営
2 良いアイデアを実行し、世の中を動かし、社会を変革し、社会に貢献する経営
3 いかなる企業の傘の中にも入らない自主独立の経営
4 現実を直視し、時代に適応し、自ら能動的に変化する経営
5 社員ひとりひとりが自活し、自省し、柔軟な組織の中で個人ひとりひとりの尊重とチームワークを最重視する経営
6 世界中の才能を活用し、自社独自のIDを確立し、若者支持率No.1の商品、業態を開発する、真に国際化できる経営
7 唯一、顧客との直接接点が商品と売場であることを徹底認識した、商品・売場中心の経営
8 全社最適、全社員一致協力、全部門連動体制の経営
9 スピード、やる気、革新、実行力の経営
10 公明正大、信賞必罰、完全実力主義の経営
11 管理能力の質的アップをし、無駄を徹底排除し、採算を常に考えた高効率・高配分の経営
12 成功・失敗の情報を具体的に徹底分析し、記憶し、次の実行の参考にする経営
13 積極的にチャレンジし、困難を、競争を回避しない経営
14 プロ意識に徹して、実績で勝負して勝つ経営
15 一貫性のある長期ビジョンを全員で共有し、正しいこと、小さいこと、基本を確実に行ない、正しい方向で忍耐強く最後まで努力する経営
16 商品そのものよりも企業姿勢を買ってもらう、感受性の鋭い、物事の表面よりも本質を追求する経営
17 いつもプラス発想し、先行投資し、未来に希望をもち、活性化する経営
18 明確な目標、目的、コンセプトを全社、チーム、個人が持つ経営
19 自社の事業、自分の仕事について最高レベルの倫理を要求する経営
20 自分が自分に対して最大の批判者になり、自分の行動と姿勢を改革する自己革新力のある経営
21 人種、国籍、年齢、男女等あらゆる差別をなくす経営
22 相乗効果のある新規事業を開発し、その分野で No.1 になる経営
23 仕事をするために組織があり、顧客の要望に応えるために社員、取引先があることを徹底認識した壁のないプロジェクト主義の経営

経営理念というよりは、いわゆるWAYっていうほうが適切な気がしますね。それにしても分かりやすいですし、社員全員の拠り所になる文章です。

日米の「持ち味」の違いについて、僕なりの見解は次のようものだ。菊池が言うところのアメリカの持ち味は、大きな対象を機能的に分解して、それぞれに専門家を充てて、大所高所で計画を立てて実行したうえでそれを事後的に統合するというやり方だ。・・・ただ、このやり方だと専門化したそれぞれの人々のコミットメントの対象はインプットの枠を出ない。・・・・日本ではどうか。・・・一人ひとりが個別の機能ブロックに分かれるのではなく、表面的には担当の仕事が違っていても、「ようするにこれは何なのか」を考えながら仕事が進む。・・・「私はこれをします」というのがインプットのコミットメントだとすれば、「私たちはkろえを顧客に提供します」というのがアウトプットに基軸を置いたコミットメントだ。このアウトプットへのコミットメントが自然と前面に出てくるということ、これは今も失われていない「日本の持ち味」ではないか。(P.60-61)

そこはホントにいい意味でも悪い意味でもあるかもしれません。グローバルという基準で考えると日本は暗黙知で成り立たせることができる特殊な民族ですからね。

ノーベル賞を取った経済学者、ハーバート・サイモンが素晴らしい言葉を残している。「情報の豊かさは注意の貧困をつくる」。要するに情報と注意はトレードオフの関係にあるという洞察だ。情報が増えれば一つひとつの情報にむける注意量は必然的に減る。情報が減ればそれにむける注意量は増える。なぜか。肝心の人間の脳のキャパシティがこれまでもこれからもたいして変わらないからだ。(P.65)
そもそも人が情報をインプットする目的は大きく分けて二つある。一つはインプットそれ自体のため。もう一つはアウトプットを生むための。前者を「趣味」、後者を「仕事」といってもよい。趣味と仕事の違いは明確だ。趣味は自分のためにやること。仕事は人のためにやること。どちらのためのインプットなのかで、情報の意味はまるで違ってくる。(P.68-69)

うぅ・・・こうやって僕も情報収集していること自体、趣味なのか・・・自己嫌悪になってしまいそう。だからアウトプットなんですよね。アウトプットしていかないと。知識のフロー化ですね。

情報のインプットを増やしていけば、自然とアウトプットが豊かになるというこことは絶対になり。情報と注意のトレードオフを考えると、実態はむしろ逆である。(P.72)

確かに、そうかしれませんね。やばい。インプット過多にならないよう注意しなければ。

それにしてもいろいろな本を読まれていて、驚きでした。最後のインタビューで本選択の例が書かれていて、そのなかの「ズルズル読み」というのが面白かったです。僕も音楽はそうなふうにルーツを辿ったらり関連のミュージシャンに広げていったり、そうやって自然に広がったり深く行ったりするんだなぁと。あまり意識しないで好きなものに展開していくのが楽しい読書だと思いました。ただ、先に書いた、僕にとっての読書は単なる趣味でもなく、やっぱり仕事に役立てる、自分の将来にプラスにしていくという意図が強いので、そういう意味でもアウトプットを意識した読書をしていかないといけないと改めて思いましたね。

 

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