イノベーションを生みだす力

BBT ビジネス・セレクト4 イノベーションを生みだす力 (BBTビジネス・セレクト)

イノベーションを生みだす力 (BBTビジネス・セレクト)
著者:竹内 弘高,楠木 建

★読書前のaffirmation!
[目的] 「イノベーションを生みだす力」の源泉を知る
[質問] 個でもそうだし、組織でも、それをどう生み出すか?

英語タイトルが「The  Mother of Innovation」!これはいいですね。確かに「生み出す力」をThe Mother としているあたりにセンスを感じます。

ちょうど僕の修士論文の中でも「データ」「情報」「知識」については整理して定義をしましたが、ここでの整理は次のようにされています。

データ 体系化されていない数字、言葉、音声、画像など
情報 意味を持つように処理され、整えられたデータ
知識 正当化され、真実であり、信頼できるようになった情報
情報と知識の差は分かりやすく言うとJTB。これをぜひ覚えて欲しい。情報が知識になるためには正当化(Justify)され、真実(True)でなくてはならない。そして、信頼できる(Believable)ものでなくてなならない。

何らかの相互理解と価値の共有を進める社会的プロセスがないと、情報は知識にならないのである。データと情報を知識にするためには、大きなジャンプが必要であり、知識の方が、ワンランクもツーランクも上の存在だということを理解してい欲しい。(P.21-22)

その知識について、形式知と暗黙知について説明してくれています。

形式知 暗黙知
・海面上にある氷山の一角
・言葉、音
・数式、データベース
・公式、方程式
・図表
・海面下にある氷山の大部分
・体験、経験、五感
・直感、洞察
・感情、フィーリング
・理想、信念、価値観、想い
簡単に表現でき、コンピュータに入力・保存できる。 表現するのが難しい
物語、比喩、隠喩を利用する

よくでてきますが、4つの知識変換方法について。いわゆるSECIモデル。

●4つの知識変換方法(P.27)
・暗黙知から暗黙知への変換 : 共同化(Socialization)
・暗黙知から形式知への変換 : 表出化(Externalization)
・形式知から形式知への変換 : 連結化(Combination)
・形式知から暗黙知への変換 : 内面化(Internalization)
文脈をみんながシェアリングできる場を作ることは、知識革命の時代には本当に重要になってくる。大衆がただ集まってもダメ。クリエイティブなスパークがなければならない。そういう場を作りだすということが問われているのである。(P.45)
経営の基本原則

WTP↑ - C↓ = P

 W:Willingness to pay(お客がどれだけお金を払いたいと思うか)
 C:Cost
 P:Profit

コストを下げる競争は「ラットレース」である。コストの削減は重要ではあるが、持続的に利益を増大するには十分ではない、自ずと限界というものがある。コスト削減競争は、いつかは壁に突き当たるということだ。コスト削減だけに邁進する企業は、自分で自分の首を絞めることになりかねない。もちろん、コストを下げることも必要ではあるが、それにのみ邁進することは、集団自殺的な行為と言える。つまり、企業は製品やサービスに新しい価値を追加することによってWTPを上げ、利益を拡大しなければならない。(P.64-66)

価値が見える、見えないを左右する要因は、大別すると3つある。
・価値の特定可視性(specifyability)
・価値の測定可能性(measurability)
・価値の安定性(stability)
今、みなさんが提供している商品やサービスを、以上、3つの要因から見て価値が見えやすいのか、見えにくいのか、考えて欲しい。価値が見えにくい方向へ移行するほうが、利益を上げる可能性が高いのである。(P.77-79)

 

 

商品開発のプロは、微細な差を見分けられる。しかし消費者は3割以上の差がないと理解できない、と思った方がよい。つまり、技術的には更なる高品質化、高機能化に成功したとしてもいずれユーザーは、それらの技術革新に必要な投資に見合う価格を支払わなくなってしまうということだ。(P.82)
脱コモディティ化への挑戦
市場が成熟し、安さをキーワードにしたコモディティ化現象が起きるとどうなるのか。
①従来の価値次元の上で競争企業間の差異がなくなる。
②技術的もしくは顧客の認知的な限界のために、従来にわたってもその価値次元上での差別化を実現することが困難である。
③製品ないしサービスの価値が価格に単元化してしまう。
脱コモディティ化に必要なことは、価格という単一の次元に収斂してしまった競争のルールをイノベーションによって変えてしまうことであり、そのイノベーションが価値次元のあり方にどのようなインパクトをもたらすのか。これが重要になってくる。(P.86)
脱コモディティ化の2つの方向
脱コモディティ化をはかるためには、どのような施策が考えられるだろうか。
①「次元を創る」
それまで顕在化されていない価値の発見による新しい次元を創造することである。従来の次元上での差別化が不可能だったとしても、新しい次元の上に他社との違いを構築すれば、コモディティ化から脱出する可能性がある。
②「次元を壊す」
次元的な競争のルールそのものを破壊し、価値次元を見えなくしてしまう。(P.87)

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