イノベーションの普及

イノベーションの普及

(著者:エベレット・ロジャーズ)

★読書前のaffirmation!
[目的]  イノベータ理論の習得とその活用
[質問]  イノベータ理論とは?うまく活用するためにはどうすればよいか?


(※記述ルール ●引用/◎まとめ/⇒コメント)

●本書では不確実性と情報という概念を援用している。不確実性とは、複数個の選択肢のうちのある出来事の発生とそれらの出来事の相対的発生確率という観点から、これら複数個の代替的選択肢が知覚される度合いのことである。不確実であることは心地の悪い状態なので、情報を探し求めるように人々を仕向ける。情報とは物質・エネルギー内に内在する差異であって、一群の選択肢の中から一つを選択する状況において不確実性に影響を及ぼす。ある種の不確実性はイノベーションがもたらす。ここでイノベーションとは、個人あるいはその他の採用単位によって新しいと知覚されたアイデア、習慣、あるいは対象物である。イノベーションは個体やなんらかの組織に対して新たな代替案、あるいは問題解決のための方法を提示する。しかしながら、新たなアイデアが以前の慣習よりも優れているかどうかという確率は、個々の問題解決者によって初期の段階で確実に知られることはない。このように、イノベーションが生み出す不確実性に対処するために、個人はそれに関する情報を求めるべく動機づけられるのである。(P.vii-viii)
⇒本論とは少し外れるが、これまで情報の下位概念であるデータを定義して、そこから情報の定義も導くように考えていったが、そもそも対象物が複数個あるという前提で、特にその対象物を定義することなく、それらの物質・エネルギーに内在する「差異」にのみ着目しているところは興味深かった。

●新しいアイデアが晃会に優位なものであっても、その採用を促すのは難しい。多くのイノベーションは、入手可能になってから広く採用されるまでに長い年月を要する。そこで、個々人のあるいは諸機関にとっての課題は、イノベーション採用度をいかに速めるかというところにある。(P.2)

●普及とは、イノベーションが、あるコミュニケーション・チャネルを通じて、時間の経過の中で社会システムの成員の間に伝達される過程のことである。メッセージが新しいアイデアに関わるものであるという点で、普及はコミュニケーションの特殊な形式のひとつである。(P.8)

●メッセージの内容が新しいアイデアであるという点で、普及はコミュニケーションの特殊な形式のひとつである。メッセージの内容に含まれているアイデアの新規性は、普及というものに特別な性質を付与することになる。新規性の存在は、一定程度の不確実性が普及過程に含まれていることを意味する。(P.9)

●普及研究者が提起する研究上の重要な問いかけ、つまりリサーチ・クエスチョンをいくつか挙げるならば、
①イノベーションの初期の採用者は、後期の採用者とどのような点で異なるのか
②相対的優位性や両立可能性などのイノベーションの知覚属性は、採用速度の遅速にどのように影響を及ぼすのか
③S字型の普及曲線はなぜ10から20%の採用率に達すると「離陸」するのか、つまり、なぜこのときに対人ネットワークが活性化する結果、クリティカルマスに到達して、持続的にイノベーションを採用し始めるのか
(P.16)

●イノベーション決定過程は本来的に情報探索活動と情報処理活動であり、この活動によって人はイノベーションのもたらす優位性と劣位性に関する不確実性を減少させるように動機づけられる。人が新しいアイデアについて問いかけるのは次のような点である。「そのイノベーションは何か?」「そのイノベーションはどのように作用するのか?」「そのイノベーションはなぜ作用するのか?」「そのイノベーションの結果はどうか?」そして、「私にとって、そのイノベーションがもたらす優位性と劣位性は何か?」(P.19)

◎個人によって知覚されるイノベーションの特性は、それの採用速度を説明するのに有用である。
①相対的優位性:これまでより良いと知覚される度合い
②両立可能性:社会システムの価値観や規範と両立するか
③複雑性:イノベーションを理解したり使用したりするのが相対的に困難であると知覚される度合い
④試行可能性:新しいアイデアをいくつかに分割して試行できる場合、そうでない場合よりも早く採用される
⑤観察可能性:イノベーションの結果が他の人たちの目に触れる度合いのこと
過去の調査によると、これら5つの属性はイノベーションの採用速度を説明する最も重要な特質であることが示されている。なかでも、相対的優位性と両立可能性は採用速度を説明するのに重要な属性である。(P.21-23)

●イノベーションが存在しているという情報を潜在的採用者に伝達するのに最も早くて効率的な方法は、通常マスメディア・チャネルであり、イノベーションに対する「気づき知識」を生み出す。他方、人を説得して新しいアイデアを受け入れさせるには、対人チャネルが有効である。ある特定のイノベーションについてはインターネットを介した双方向コミュニケーションが重要になってきている。(P.25)

●イノベーションの普及に関して最もきわだった問題の一つは、参加者たちは通常きわめて異類性が高いことである。たとえば、チェンジ・エージェントはクライアントよりも技術的な能力がある。この差異のために、両者には共通の言語が存在せず、非効率的なコミュニケーションしか生まれないことがしばしばある。しかしながら、両者ともにイノベーションに対する技術的理解が等しいならば、新しい情報が交換されないので、普及は起こりようがない。普及の本質を考えれば、コミュニケーション過程において両参加者の間に少なくとも何らかの異類性が存在していなければならない。両者はイノベーションに関してのみ異類性を持ち、その他すべての属性については同類性が高いのが理想的である。しかしながら、イノベーションに関する知識や経験は社会経済的地位や教育などと強い相関を持っているので、チェンジ・エージェントとクライアントはこれらすべての属性に関して異類性が高いのである。(P.26-27)

●普及においては次のような時間軸がある。
①人がイノベーションに関する知識を獲得する段階から、採用ないし拒絶に至るイノベーション決定過程
②社会システム内の他の個人ないし成員と比較して、ある個人ないし成員がイノベーションを採用するまでの遅速という意味での革新性
③社会システムにおけるイノベーションの採用速度。など、採用速度は通常ある一定の期間にイノベーションを採用した成員の数によって計測される
(P.27)

●イノベーションの決定過程には概念的に次の5つの主要段階
①知識
②説得
③蹴邸
④導入
⑤確認
に区分される。
(P.28)

●イノベーション決定過程は情報探索活動ならびに情報処理活動であって、人はイノベーションに関する不確実性を徐々に減少させるために情報を獲得する。(P.28)

●革新性とは、個々人あるいは他の採用単位が、その他の個々の成員よりも相対的に早く、新しいアイデアを採用する度合いのことである。・・・・採用カテゴリーは社会システムの成員を革新性に基づいて分類するもので、①イノベータ、②初期採用者、③初期多数派、④後期多数派、⑤ラガード(採用の最も遅い人々)、に区分する。(P.30)

●イノベータは新しいアイデアに関する情報を活発に求める。マスメディアに触れる機会が多く、対人ネットワークは広範囲に及んでおり、イノベータの属する社会システムの外部に達している。他の採用者カテゴリーに属する成員よりもイノベータはイノベーションに関わる不確実性に対処し得るだけの能力がある。社会システムのなかで新しいアイデアを最初に採用するので、イノベータは他の成員の主観的な評価に頼ることはない。(P.30)

●通常は、ある一定の期間に社会システムのうちのどれだけの成員がイノベーションを採用したか、その割合を計測して普及速度を求める。したがって、普及速度の計測対象は社会システムにあるイノベーションであって、個人ではない。社会システムはコミュニティであったり、組織その他の期間であったりする。・・・同じイノベーションでも、異なる社会システムになると普及速度は異なる。普及の多彩な側面を個々人の行動だけから説明することはできない。社会システムは、その成員の行動を通じて間接的に普及に影響を及ぼすばかりでなく、その規範やその他の社会システム上の特質を通じて直接的に普及に影響を及ぼす。(P.31-32)

●共通の目的を達成するために、共同で課題の解決に従事している相互に関連のある成員の集合のことを社会システムという。社会システムの成員は個人、非公式グループ、組織、あるいは社会システムのサブシステムであることもある。(P.32)

●社会システムの成員の行動が同等でない程度に応じて、そのシステムのうちに構造が存在する。構造とは、社会システム内部の成員のパターン化された配置のことである。この構造が社会システム内の人の行動に規則性と安定性をもたらし、ある程度の正確性をもって行動を予測することが可能になる。このように、構造はある種の情報を表しており、情報の存在によって、構造の不確実さが減少する。(P.32)

●社会システムの構成がイノベーションの普及を促進することもあれば、阻害することもある。社会構造が普及に及ぼす影響は、社会学者や社会心理学者にとって最大の関心事の一つである。一方、社会システムのコミュニケーション構造が普及に与える影響は、コミュニケーション研究者にとって格別の関心対象である。高名なコミュニケーション研究者カッツは次のように述べている。「(潜在的採用者が構成している)社会構造についても知識ももたずに、普及研究をすることなど到底考えられない。これはちょうど静脈や動脈についての適切な知識もなしに、血液の循環を研究するようなものである」(P.33-34)

●個々人の革新性は、その人の特質のみならず、その人が属している社会システムの性質によって影響を受けるのである。(P.35)

●オピニオンリーダーは対人コミュニケーション・ネットワークの中心に位置ししている。情報のパターン化された流れによって相互に連結された人々が、コミュニケーション・ネットワークを形成している。対人ネットワークの中心に位置するオピニオンリーダーは、社会的な規範になるという役割を担っており、その革新的な行動は、多くの社会システムの成員によって模倣されるところとなる。しかしながら、もしオピニオンリーダーが社会システムの規範から逸脱しすぎると、フォロワーからの尊敬の念を失うことがある。オピニオンリーダーは、普及活動を行っているチェンジ・エージェントによって「使い古されて」しまうことがある。オピニオンリーダーは、仲間うちからチェンジ・エージェントと同じような専門家とみなされるようになり、フォロワーからの信頼を失ってしまうのである。(P.37)

・・・・・途中ですが、公開しておきます。随時、インプットしてきます。

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