林知己夫の生涯

林知己夫の生涯: データサイエンスの開拓者がめざしたもの

(著者:丸山久美子)

★読書前のaffirmation!
[目的] 偉大なる林知己夫先生の発想の原点・源泉を知る
[質問] 林先生の発想の原点は?源泉は?

林先生の性癖にぴったりし、それを増発し発展させた2冊は

寺田寅彦随筆集 セット (岩波文庫)  ヴァレリー・セレクション (上) (平凡社ライブラリー (528))

それらはれっきとした古典ではなく、いわば雑文集である。寺田寅彦の初中期の随筆集とポール・ヴァレリーの文集「ヴァリエテ」である。寺田寅彦の随筆集では「もの」の現象に対する見方を教えられ、その独創的な分析のしかたに強くひかれた。ヴァリエテの方は「心」の現象に対する視点、文明に対する態度、人間の行為に対する考え方について大変な影響を受けた。(P.16)

哲学的理論を伴わない技法は空疎なものである。形式的にしか処理しえない現象に対してすら、それに対する哲学的理念が明確でなければならない。たとえ泥臭い理念であっても、データという具体的で歴然としたものが垣間見せる微妙なニュアンスが根幹に根を張っていなければならない。それが、林知己夫のデータに対する根本姿勢であり前提条件であった。(P.39)

「データ無くして一切なし」とする林の思想は、データのデザイン(データ取得の設計図)と分析に必要なことを具体的なものに即して作り上げ、そのなかに哲学を見出し、またその上に立って方法を考えるという立場であった。いわゆる仮説検定型ではなく、データのなかから真なるものを見つけ出し、それを検証するという、仮説発見型、探索的データ解析を徹底したのである。彼はますます従来の化学方法論のように仮説演繹的ではなく、データから仮説を発見して帰納的に現象を説明する方法論に固執していった。(P.49)

 

林先生は、戦争の中で、人の命を左右する判断のためのデータ分析を行った。そんな中でのデータ分析を感性多感な時期にしてらっしゃったことはその後の先生のデータサイエンスに対する哲学を築く上で非常に大きな要素になったと思われます。それにしても、データ分析においても、しっかりした立ち位置、哲学を持って行っていけるよう、人間性をも磨かなければならないように感じました。

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