ヤフーとその仲間たちのすごい研修


ヤフーとその仲間たちのすごい研修

(著者:篠原 匡)

北海道上川郡美瑛町での「地域課題解決プロジェクト」の記録。


ヤフーの「課題解決」「爆速」「フォーカス」「ワイルド」の4つのバリューに基づいて、ヤフーは社員の才能と情熱を解き放つ、すなわち人材開発企業になるために人事制度を大きく見直した。その際のポイントは人材開発(個)と組織開発(組織)の2軸。(P.30)

ちなみに(P.30)
「課題解決」:顧客の課題を解決することがヤフーの存在意義であるという意思表明
「爆速」:他社に先駆けてどんどん始めなければ成功も失敗も生まれないという戒め
「フォーカス」:爆速で走るためには目標を絞り込む必要があるという問題意識
「ワイルド」:失敗を恐れない大胆なDNAを持ってほしいという願望

「社内異動は最大の人材開発」と語るように、人材開発軸では組織行動学者のデビッド・コルブが唱えた経験学習モデルに基づいて社内異動を重視した。経験学習モデルとは「経験」→「内省」→「概念化」→「実践」→「経験」というサイクルを繰り返すことで、人間は学習し、成長するという考え方だ。企業においては異動をとして新しい経験を積むことが最大の教育になる(P.31)と考えられており、現実にヤフーでは、3年以上同じ業務に就いている社員は強制的に異動を命じられる(P.31)とのこと。

私個人としては、その会社の業務範囲にもよるでしょうが、技術系の専門知識の必要な部門などは、さすがに異動といっても異動部署は限られるでしょう。

一人ひとりの中長期的な育成方針に基づき、今後どのような経験を積むべきかを議論し、それぞれにフィードバックがされているとのこと。ベースにあるのは「アサインでなくチョイス」、キャリアは自身が自律的に築くべきだという哲学である、と書かれている(P.32)。人材育成こそ、こういったしっかりとした哲学があるべきだと改めて思いました。

一方で、組織開発軸としてはフォロワーシップ研修や評価制度の見直しが当てはまる。人材開発が社員一人ひとりのこの力を伸ばすことだとすれば、組織開発は人と人の関連性を改善することで組織力を高める考え方のこと。その意味で言えば、フォロワーシップ理論に基づいた社員研修は組織力の向上に直結する。(P.32)

ヤフー本間氏が語るフォロワーシップ理論は下記の通り(P.28)
フォロワーシップ理論とは、リーダー自身ではなく、リーダーを支える部下(フォロワー)の行動や考え方に焦点を当てたメソッドのこと。当事者意識を持ったメンバーが能動的、自律的に動くことで、強力なリーダーが率いるのと同等か、それ以上の成果が出せるという考え方で、いわばカリスマ不要の組織論。
例:早稲田大学ラグビー蹴球部(中竹竜二元監督)
ニューヨークのオルフェウス室内管弦楽団など

また、こういった形で新しい研修を考えたのは、ビジネスパーソンのための新しい学びの場の模索でもあったようです。

世の中には、ビジネススクールと名のつくものはいくつもあるが、一般的にはフレームワーク偏重で、現場軽視とは言わないまでも重視いているとは言えない。同様に、参加者によるディスカッションの機会は多いが、知的遊戯とでも言うべきロールプレイが中心で、異質なモノがガチでぶつかり合うような激しさはない。何より、ビジネススクールは学生に倫理観や社会との関わり方を十分に教えてきたのか、という疑問があった。(P.34)

こういった現実を踏まえたとき、次世代のビジネススクールに求められるものは何か。まずは机上の議論ではなく、ドロドロとした現場に関与し、その中で現実を知り、変革していくという体験(アクチュアルラーニング)である。問題を抱えた現場は、往々にして複雑で混沌としている。そのカオスの中で泥にまみれた経験こそ、人間を飛躍的に成長させるのだ。(P.35)

このようなヤフー本間氏の問題意識の元に、東京大学准教授中原淳氏もサポートメンバーに入って、行われた異業種コラボ研修についての記録が本書である。

↓ 中原先生の著作

研修開発入門---会社で「教える」、競争優位を「つくる」 駆け出しマネジャーの成長論 - 7つの挑戦課題を「科学」する (中公新書ラクレ)  人事よ、ススメ!  ―先進的な企業の「学び」を描く「ラーニングイノベーション論」の12講 (碩学舎ビジネス双書)

 

 

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