ゴジラで負けてスパイダーマンで勝つ: わがソニー・ピクチャーズ再生記

ゴジラで負けてスパイダーマンで勝つ: わがソニー・ピクチャーズ再生記

(著者:野副 正行 )
★★★☆☆

片道切符で「出向」したどん底の映画スタジオを、私はこうしてトップにした! ソニーで長いこと電機製品を売ってきた私が、突然命じられた片道切符の「出向」。行った先は、業界最下位にあえぐアメリカの大手映画スタジオだった――。日本人初のハリウッド経営者として、瀕死のコンテンツ産業を救うさまざまな方策を編み出し、見事トップを争う会社へと立て直した著者の、工夫と粘闘のストーリー。(「BOOK」データベースより)

副題が「わがソニー・ピクチャーズ再生記」となっており、映画好きの方には裏話も多く、たまらない内容。

組織論的としては、・・・・なぜ、若手を呼んだのか。一般にそれぞれの組織のリーダーは、過去の成功体験によって昇進の階段をのぼってきた人々だ。良くも悪くも過去の成功事例を大切にし、現状を肯定する姿勢が往々にして見受けられる。一方で、若手は、経験はない分、あり意味怖いもの知らずに、自身の理想を追い求めるエネルギーをもっている。すなわち、新しい挑戦を望むようなところにある。(P.95)

というくだりがあり、逆にリーダーでも新しく来た人にありがちな傾向として、いままで良かったことについても変えようとするところ。たとえば民主党が政権を取ったときも自民党の良かったところまで無理やり変えようとしたようなところは典型的な事例でしょう。(それは池井戸潤の「銀翼のイカロス」[半沢直樹シリーズ]でも描かれてました。)

また、マーケティング、商品開発観点で、次のくだりは映画だけでなく、あらゆる商品にも通じるものだと思いました。・・・・ハリウッドの「新参者」だった私が「GODZILLA」の蹉跌から得た教訓は、映画は一本だけで勝負する商品ではなく、続編(シークェル)を作ってシリーズ化することにビジネスの旨味があり、得られる利益も極めて大きいことを痛感させられたのだ。(P.115)

以上、著者の苦労は相当なものだったと思います。ですが、いわゆるプロジェクトX的に、気軽に読める内容にまとめられています。

 


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